2011/07/05 特集

シェフの見せ場!商品価値の高め方(2ページ目)

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個室限定のデザートビュッフェプランが、集客とホテルのブランディングに貢献

神戸・三宮 ホテルピエナ神戸 RESTAURANT PATRIE

シェフパティシエとして「デザートビュッフェプラン」利用客には必ず挨拶に立つ河合氏。時間の許す限り、自らもサーブに立つ

ホテルならではのデザートをパティシエの挨拶とともに

パティスリーの多い神戸・三宮で、「デザートビュッフェプラン」で人気を博しているのが、「PATRIE」だ。ホテル内のレストランは、地元客の利用が少なくなりがちなことから、シェフパティシエの河合稔明氏は2年前、1日1組(4~12人)限定の個室ランチコースを企画し、その目玉として他店にはないデザートビュッフェを始めた。

ビュッフェというと、並べられたケーキを客が取りに行くスタイルを思い浮かべるが、「PATRIE」はコース料理のあとにデザートを最もおいしい状態で1点ずつ順番にサーブする形式。さっぱりしたグラスものから始め、タルト、ショコラなど全7点を客の様子を見ながら順次提供。さらにソルベで口直しをしてもらい、マカロンやマドレーヌ、スティック状のパイなどの焼き菓子を、お替わり自由のお茶とともに楽しめる内容だ。

「料理の後に適した内容で、できたてを楽しんでいただくとともに、ケーキとしての満足感も盛り込んだものを追求しました」と河合氏。しかも、デザートビュッフェの前後には、河合氏自身が必ず挨拶に立つ。来店のお礼とその日のデザートと食べ方を紹介し、終了時には感想を尋ねる。

シェフ自らの挨拶はそれだけでスペシャリティを高めるが、河合氏は「お客様の表情や言葉からダイレクトな評価が伝わる点で、私にとっても有益で楽しい瞬間」と語る。客の反応からよりよいバランスを模索し、他店の斬新な料理や調理法からもヒントを得て、新しい作品を生み出すのが河合流。「作り手が楽しめなければ、喜んでもらえるデザートは作れません。お客様の笑顔が何よりの励ましですから」。

評判は高く、来店したフランス人に「フランスで食べるよりおいしい」と絶賛されたこともある。また、お気に入りのデザートを繰り返し食べに来る家族連れや、朝食バイキングでも提供されるデザートを楽しみに宿泊する常連客などを獲得し、〝デザートホテル〟としてのブランディングにも確実な貢献を果たしている。

デザートビュッフェの一例。右からムラングシャンティ、トマトを使ったパンナコッタ 桃のシャンティ添え、季節のフルーツタルト
大人気商品のひとつ「ミルキッシュジャム」は、製造特許を取得した、キャラメル味の手作りジャム。モンドセレクション5年連続金賞を受賞し、通販も行なっている
メインダイニングでも、個室プランをアピール。前菜、メイン料理と7種のデザートで1人3,675円(土日祝日は3,990円)と破格
12人まで利用可能な個室ランチビュッフェは1日1組限定。午後4時までゆっくりと寛ぐことができるお値打ちプラン
シェフパティシエ
河合 稔明 氏料理人として独立を目指す過程で、菓子作りの奥深さに魅了される。8年前にホテルピエナ神戸の「菓子sパトリー」に赴任し工場長に。3年前からレストランへ移り現職。
ホテルピエナ神戸 RESTAURANT PATRIE
兵庫県神戸市中央区二宮町4-20-5
ホテルピエナ神戸2Fホテル内レストランとして、フレンチとイタリアンを基本とした華やかな料理を提供。地元の人々の記念日利用のほか、1階のパティスリーのリピーターも多い

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