個室限定のデザートビュッフェプランが、集客とホテルのブランディングに貢献
神戸・三宮 ホテルピエナ神戸 RESTAURANT PATRIE
ホテルならではのデザートをパティシエの挨拶とともに
パティスリーの多い神戸・三宮で、「デザートビュッフェプラン」で人気を博しているのが、「PATRIE」だ。ホテル内のレストランは、地元客の利用が少なくなりがちなことから、シェフパティシエの河合稔明氏は2年前、1日1組(4~12人)限定の個室ランチコースを企画し、その目玉として他店にはないデザートビュッフェを始めた。
ビュッフェというと、並べられたケーキを客が取りに行くスタイルを思い浮かべるが、「PATRIE」はコース料理のあとにデザートを最もおいしい状態で1点ずつ順番にサーブする形式。さっぱりしたグラスものから始め、タルト、ショコラなど全7点を客の様子を見ながら順次提供。さらにソルベで口直しをしてもらい、マカロンやマドレーヌ、スティック状のパイなどの焼き菓子を、お替わり自由のお茶とともに楽しめる内容だ。
「料理の後に適した内容で、できたてを楽しんでいただくとともに、ケーキとしての満足感も盛り込んだものを追求しました」と河合氏。しかも、デザートビュッフェの前後には、河合氏自身が必ず挨拶に立つ。来店のお礼とその日のデザートと食べ方を紹介し、終了時には感想を尋ねる。
シェフ自らの挨拶はそれだけでスペシャリティを高めるが、河合氏は「お客様の表情や言葉からダイレクトな評価が伝わる点で、私にとっても有益で楽しい瞬間」と語る。客の反応からよりよいバランスを模索し、他店の斬新な料理や調理法からもヒントを得て、新しい作品を生み出すのが河合流。「作り手が楽しめなければ、喜んでもらえるデザートは作れません。お客様の笑顔が何よりの励ましですから」。
評判は高く、来店したフランス人に「フランスで食べるよりおいしい」と絶賛されたこともある。また、お気に入りのデザートを繰り返し食べに来る家族連れや、朝食バイキングでも提供されるデザートを楽しみに宿泊する常連客などを獲得し、〝デザートホテル〟としてのブランディングにも確実な貢献を果たしている。