オリジナルのカービングがファンをつくり、コミュニケーションツールとしても大活躍
兵庫・芦屋 クワンチャイ芦屋店
シェフの優しさが表れた独創性の高い作品たち
本格タイ料理の「クワンチャイ芦屋店」では、店で提供する料理やケータリングにたびたびカービングが登場し、評判になっている。定番のバラや蓮の花などのほか、ユーモラスな青パパイヤのクジラや、ニンジンでできた力強い竜、ダイコンで作った優雅なスワンなどがある。制作しているのは、いずれもオーナーの長谷川茂氏がタイから招聘してきたタイ人シェフたちだ。
「タイのカービングは王宮料理の飾りつけとして発展したものです。ですから、ホテルや一流レストランのシェフは必ずカービングを学びます。カービングがどのくらいできるかで、シェフの基礎的な力量がわかるのです」と長谷川氏。
そのため、長谷川氏が現地で行なうシェフの選抜試験では、料理の技術、盛りつけのセンスとともに、カービングも審査の対象としている。タイのシェフにとって、料理の一部ともいえるカービングだが、クワンチャイのシェフが作る作品は、青パパイヤのクジラのような独創的なデザインも多い。
「シェフたちは時間ができるとカービングに取り組み、お客様を喜ばせようとしているのです。それは料理とお客様に対する、彼らの優しさとこだわりの表れです。クジラも、彼らのそうしたハートから生まれたのでしょう」と長谷川氏。
ケータリング時には、サプライズでカービングをプレゼントしたり、目の前で実際に披露したりして、大いに喜ばれている。また、店で提供する料理にも、時間の許す限りカービングが飾られ、そこから客との会話が盛り上がることも珍しくない。「とはいえ、カービングに値段をつけるつもりはありません。あくまで料理の飾りですし、シェフの心づかいですから」と長谷川氏。シェフ自身も客の歓声や喜ぶ顔が何よりの励みで、モチベーションアップにつながっているという。
今後の目標について長谷川氏は「日本人の繊細な味覚に合致するタイ料理の普及」と語る。「タイにも店を出し、日本人シェフとタイ人シェフがそれぞれ刺激し合い、より日本人に愛されるタイ料理を追求していきたい」と熱く夢を語ってくれた。
芦屋清洲プラザ1F
http://r.gnavi.co.jp/c020704/芦屋市の住宅街の一画に、2年ほど前にオープン。シェフは全員、タイのホテルやレストランで修業を積んでおり、日本人に好まれるヘルシーかつ本格的なタイ料理を提供している。デリバリーやケータリングも好評