2011/07/05 特集

シェフの見せ場!商品価値の高め方(5ページ目)

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オリジナルのカービングがファンをつくり、コミュニケーションツールとしても大活躍

兵庫・芦屋 クワンチャイ芦屋店

青パパイヤのクジラ。くりぬいたパパイヤは、サラダの具材として利用し、再びクジラの中に収めてある。ユーモアたっぷりの表情が愛らしく、思わず歓声があがる。子どもにも大人気の作品

シェフの優しさが表れた独創性の高い作品たち

本格タイ料理の「クワンチャイ芦屋店」では、店で提供する料理やケータリングにたびたびカービングが登場し、評判になっている。定番のバラや蓮の花などのほか、ユーモラスな青パパイヤのクジラや、ニンジンでできた力強い竜、ダイコンで作った優雅なスワンなどがある。制作しているのは、いずれもオーナーの長谷川茂氏がタイから招聘してきたタイ人シェフたちだ。

「タイのカービングは王宮料理の飾りつけとして発展したものです。ですから、ホテルや一流レストランのシェフは必ずカービングを学びます。カービングがどのくらいできるかで、シェフの基礎的な力量がわかるのです」と長谷川氏。

そのため、長谷川氏が現地で行なうシェフの選抜試験では、料理の技術、盛りつけのセンスとともに、カービングも審査の対象としている。タイのシェフにとって、料理の一部ともいえるカービングだが、クワンチャイのシェフが作る作品は、青パパイヤのクジラのような独創的なデザインも多い。

「シェフたちは時間ができるとカービングに取り組み、お客様を喜ばせようとしているのです。それは料理とお客様に対する、彼らの優しさとこだわりの表れです。クジラも、彼らのそうしたハートから生まれたのでしょう」と長谷川氏。

ケータリング時には、サプライズでカービングをプレゼントしたり、目の前で実際に披露したりして、大いに喜ばれている。また、店で提供する料理にも、時間の許す限りカービングが飾られ、そこから客との会話が盛り上がることも珍しくない。「とはいえ、カービングに値段をつけるつもりはありません。あくまで料理の飾りですし、シェフの心づかいですから」と長谷川氏。シェフ自身も客の歓声や喜ぶ顔が何よりの励みで、モチベーションアップにつながっているという。

今後の目標について長谷川氏は「日本人の繊細な味覚に合致するタイ料理の普及」と語る。「タイにも店を出し、日本人シェフとタイ人シェフがそれぞれ刺激し合い、より日本人に愛されるタイ料理を追求していきたい」と熱く夢を語ってくれた。

左がダイコンのスワン、右がニンジンの竜。青パパイヤのクジラと合わせ、3人で1時間ほどで完成させた。竜のヒゲは赤パプリカ、葉っぱはキュウリ、花はニンジンと赤パプリカで作成
右からタイ人シェフのアピラック・チムジャさん、店長の小畑真澄さん、タイ人シェフのベンジャワン・ミーサンティアさん、同じくニラン・ローイムーンさん。小畑さんは半年間タイを旅し、昨年11月から店長に。カービングはアピラックさんの原案を元に、制作は3人で分担している
兵庫県芦屋市東芦屋町3-5
芦屋清洲プラザ1F
http://r.gnavi.co.jp/c020704/芦屋市の住宅街の一画に、2年ほど前にオープン。シェフは全員、タイのホテルやレストランで修業を積んでおり、日本人に好まれるヘルシーかつ本格的なタイ料理を提供している。デリバリーやケータリングも好評

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