POINT1 チームづくりの前に“自分づくり”/POINT2 一番“燃える”目標を立てる
POINT1 チームづくりの前に“自分づくり”
理想的な店長になるために自己管理と自分磨きを!
例えば、「笑顔のあふれる店にしよう!」と店長がいくら言っても、店長自身が不機嫌な顔ばかりを見せていたら、スタッフも同じような表情になります。店長の振る舞いが、スタッフの行動の基準になり、無意識のうちに似てしまうからです。それはちょうど、子供が親の生活態度を真似して育つのと同じです。店は店長以上にはならないのです。
だから、店長は何よりもまず、自分自身が理想とする店長像を明確にし、それに向かって自己を管理し、磨かなければいけません。スタッフは店長の姿を見て、店の理想像を感じとるとともに、「この店長についていこう。このチームで自分も成長したい」と思うことができるのです。店長にとってチームづくりの第1歩は“自分づくり”にほかなりません。
同時に人間は、能力よりも人間性に魅かれるものです。人間性とは、その人の日頃の言動からにじみ出てくるものです。「遅刻をしない」「みだしなみを整え、相手に不快感を与えない」「挨拶は作業の手を止めて、心を込めて行う」「誰に対しても公平な態度で接する」「人の意見に耳を傾ける」「自分の欠点と謙虚に向き合う」「悪いときは真摯に反省し、謝罪する」などです。でも、店長になったとたんに、職務の重圧やプライドからか、こうした人間として大切な姿勢を忘れてしまう例は、決して少なくないのです。
スタッフは店長の様子をよく見ています。店長の言動がスタッフに与える影響を自覚し、店長の成長なくして店の成長もないことを肝に銘じて「自分づくり」に取り組んでほしいです。
POINT2 一番“燃える”目標を立てる
数値目標より状態目標を。評価・分析や更新も必要
チームづくりにとって決定的に重要なのが「目標の設定」です。チームとグループの違いの1つは、明確な目標があるかないか、目標に向かってメンバーが切磋琢磨しているかどうかです。
店長が日々考えるべき目標には、「どういう店にしたいのか」という“状態目標”と「売上●●円を達成しよう!」などの“数値目標”があります。チームづくりにおける目標は、前者の方がふさわしいと思います。数値目標で燃える人もいないわけではありませんが、状態目標のほうが、より多くの人がワクワクするものなのです。
このとき、最も重視すべきなのは、誰よりも店長自身がワクワクし、目を輝かせて、スタッフに熱く語れる目標であること。スタッフの気持ちに配慮して、目標を変えたりするのではなく、あくまで店長が一番“燃える”内容であることが大事です。店長自身が燃えていなければ、スタッフを巻き込むことなどできないからです。店長は自分の夢と向き合って、目標を設定してほしいと思います。
この目標は、一度設定すれば、ずっとそのままでよい、というわけではありません。店を取り巻く状況は、日々変化していますから、適宜、目標の達成状況を評価・分析し、スタッフにフィードバックする必要があります。場合によっては、目標を設定し直すこともあるでしょう。目標にワクワクしなくなってしまったら、チームは求心力を失い、崩れてしまうからです。
例えば、新店をオープンさせる仕事はとても魅力的で、オープニングスタッフは、社員もアルバイトも一丸となって、高いパフォーマンスを発揮するものです。でも、目標を「新店のオープン」に置き、オープン後も目標を更新しないままでいると、おそらく半年も経たないうちに、メンバーのモチベーションは急激に下がってしまうでしょう。
店を取りまく環境の変化や時期に応じて、目標を設定し直すことも、店長の大切な仕事なのです。
店長が考えるべき2つの目標
状態目標
どんなお客に来てほしいか、どんな接客か、どんな雰囲気の店かなど、「こんな店にしたい!」という理想の店舗の“状態”を具体化、明文化する
数値目標
店が経営的に成り立ち、成長するために必要な売上額、客数、原価率、FL比率などの数値。達成と未達成が明確にわかるため評価がしやすい。本部が決めることも