2016/06/14 特集

リーダーが変われば店も変わる! 最強チームを生む 店長の心得(3ページ目)

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POINT3 目標を共有し、“共感”へと導く/POINT4 “自主性”を生む環境をつくる

POINT3 目標を共有し、“共感”へと導く

鍵を握る“店長の本気度”個別目標の設定も有効

せっかく立てた目標も、額縁に入れて飾っておくだけでは意味がありません。スタッフ全員にその目標を共有し、共感に導くことが肝心です。これができなければ、どんなによい目標だったとしても「絵に描いた餅」にすぎません。スタッフ全員が目標に向かって燃え、ワクワクしてこそ、目標は威力を発揮するのです。

ではどうすれば、スタッフに共有し、共感へ導けるのでしょうか。これは、小手先のテクニックではうまくいきません。スタッフは年齢も人生経験も、夢も性格も、業務内容も千差万別。心に刺さる内容や言葉は、人によってまちまちですから、目標について語るときも、一人ひとりに合わせて表現方法を変えるなどの工夫が必要になってきます。

しかし、POINT2で紹介した、店長が目標に対して、どれだけ「ワクワク」しているかが大前提。店長が本気であればあるほど、日頃の言動から目標への情熱がほとばしるとともに、目標へのアプローチの方法が伝わってくるはずです。そして“共感”に導く上でもっとも大切なのが、店長から目標を念頭においた言葉が発せられ、すべての判断基準に目標があることが察せられること。いわば日常的な発信が、それぞれのスタッフへの何よりのメッセージとなります。

朝礼やミーティングで、業務内容や数値目標、重点課題などの実務的な報告を行うときも、ただの伝達事項に終わらせず、それが店の目標とどう関係し、どのように取り組むべきかを語るようにします。スタッフをほめたり叱ったりするときも、目標が基準になっていることが大切です。こうした日々の積み重ねによって、目標に向かう精神がスタッフに徐々に浸透し、共有・共感・ワクワクにつながるのです。

そのうえで、店とスタッフの成長段階に合わせて「個別目標」を設定し、大きな目標をより身近な内容に落とし込んでもよいと思います。ランチとディナー、ホールとキッチンでそれぞれ個別目標を掲げるのも一案です。

目標への共感を導く3つの条件

  1. 店長が目標に対してワクワクしている
  2. スタッフに目標の発信を日常的に行う
  3. あらゆる判断が目標に基づいている

POINT4 “自主性”を生む環境をつくる

安心して自己を表現できる環境が、自主性を生み出す

チームが高いパフォーマンスを発揮するためには、メンバーが指示待ちにならず、自分の判断で自主的に行動ることがとても大切です。よく「お前、なんでそんなことしているんだ!」などと、行動を抑制する言い方ばかりをする店長がいますが、これではスタッフが萎縮してしまい、指示されたことしかやらなくなってしまいます。そうではなく、スタッフが様々なことに自らチャレンジし、それを店長がサポートするという関係を築かなければいけません。そのためには、一人ひとりが安心して自己を表現できる環境づくりが必要なのです。

この「安心できる環境」をつくるために、店長には個人レベルの努力と、店レベルでの取り組みという2つのアプローチをしてほしいのです。

個人レベルでは、コミュニケーションスキルを磨くこと。この場合のスキルとは、単に会話ができるというだけではありません。自分の意見や想いを的確に表現できる力がまず必要ですが、それだけでなく、相手の気持ちや状況をつかんで、相手によって言い方を変え、心に届くように工夫する能力です。これは「アサーション」というコミュニケーション技法の1つですが、この種のスキルは学校では教えてくれません。ただ、飲食店に限らず、社会に出たら、必ず必要な能力でもあります。店のなかで最も高い位置にいる店長がアサーションを磨いて、頻度の高いコミュニケーションを積み重ねることで、スタッフは安心して仕事に集中することができます。できれば、店長だけでなく、核となるメンバーもアサーションをマスターすれば、さらにチーム力は向上していくはずです。

もう1つの店レベルの取り組みとは、みんなが集える場をつくること。朝礼や終礼、ミーティングなどとは別に、雑談ができる交流の場です。控え室での雑談、仕事のあとや休日に開く飲み会、みんなで酒蔵や生産地を訪ねるイベントなども、スタッフ同士が理解を深め合うよい機会となります。ぜひ積極的に企画してください。

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