2018/02/13 特集

スタッフが変わる「叱り方」~行動の改善が本来の目的!~(3ページ目)

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【Step 2】感情を伝える

“Iメッセージ”で叱る側の感情や意見を建設的に言う

事実を確認し、相手の言い分も聞いて、問題行動とその背景を共有できたら、「それに対する“自分の感情”を率直にわかりやすく伝えましょう」と齋藤氏は話す。

例えば、「声が小さい」ことに対してであれば、「あなたの明るい声が、お客様に届くと、お客様が安心してお店に来てくれると、(私は)思うよ」とか、「あなたの声が小さかったから、体調が悪いのかな?と、(私は)心配したよ」などのメッセージだ。「これらは、“私=I”がどう思ったかを伝える“Iメッセージ”と位置付けているのですが、コミュニケーションでは“Iメッセージ”を意識して発信することが、とても大切」と齋藤氏は言う。

なぜなら、叱るときは「君は、この声の大きさでいいと思っているの?」とか、「君は、なんで小さい声しか出ないの?」などと、君=YOUを主語にした“YOUメッセージ”になりがちだからだ。“YOUメッセージ”は、一見、相手の意見を聞いているように見えるが、実のところ、詰問のようになり、相手を責めることにつながりかねない言い方。人間は、責められるとますます本当の気持ちを言いづらくなる。反発するか、「すみません」ととりあえず謝って、その場をやり過ごそうとしがちだ。

一方、“Iメッセージ”は、叱る側が感じた感情や意見を伝えているだけで相手を責めるような表現にはならない。建設的に感情や意見を伝えることで、相手も受け止めやすくなるのだ。

注意!やってはいけない!! 「4つの否定」

叱るときに、思わず口走ってしまう「否定のフレーズ」。「人間は、否定されると攻撃されているように感じるもの。すると、逃げる(謝罪)か戦う(反論)かのどちらかになってしまいます」と齋藤氏。特に、以下の「4つの否定」には気をつけたい。

1.存在の否定

「だから、君はダメなんだよ」「期待はずれだな」「これ以上、信用することはできない」などは、存在そのものの否定につながりかねないフレーズ。その人自身ではなく、「どの行動がいけないのか」にフォーカスすべき。

2.能力の否定

「こんなこともできないの?」「難しいことなんてないのに」「教えなくてもできるだろう」などは、叱る側の主観と基準で判断しており、相手の能力を一方的に否定している。相手の基準で仕事の内容を見直す視点こそが重要だ。

3.可能性の否定

「何回言っても無駄だね」「君には接客業は無理」「うちの店には向かないね」などは、将来の可能性や伸び代まで勝手に否定している。未来は誰にもわからないし、努力次第で変えられるもの。簡単に否定してはいけない。

4.バックグラウンドの否定

「どういう育ち方をしたの?」「学校で教わらなかった?」「これだから、ゆとり世代はダメなんだ」など、学歴や家庭環境、世代などのバックグラウンドを持ち出すのは、もってのほか! 他人の過去を否定する権利は誰にもない。

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