2018/02/13 特集

スタッフが変わる「叱り方」~行動の改善が本来の目的!~(6ページ目)

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さらに大事! 叱った後は、褒める!「見てくれている」という意識がやる気をアップ!

叱ることにエネルギーを使い果たしたり、上手に叱れたと思い込んで満足し、相手のフォローを怠ってしまうと、せっかくの叱るというコミュニケーションが生きてこない。叱った後は、「望ましい行動」ができるようになったかどうかを見届けよう。「まず、望ましい行動ができたら、遠慮なく褒めましょう」(齋藤氏)。その際は、「入口まで挨拶が聞こえたから、お客様の案内がスムーズにできたよ」などと具体的に褒めると、本人にも達成感が生まれる。また、「(店長は)見てくれている」という意識も生まれるため、モチベーションアップにもつながるという。

逆に、その後も同じ状況が続き、行動の改善が見られないときは、もう一度、仕切り直す必要がある。「その場合も、決して『何度、注意したら、(君は)できるんだ!』などと“YOUメッセージ”で叱ってはいけません」と齋藤氏。改善したい気持ちはあるが、何か問題があって変えられないのか、それとも改善する気がないのかなど、その原因を明らかにし、相手の真意を引き出すことが重要。もし、問題があればサポートし、改善する気がない、反発しているならより腹を割って話すなど、原因によってアプローチを変えていこう。

行動の改善が見られないと、叱る側は苛立ち、「その性格を変えないとね」とか「やろうという意識になれよ!」などと言いがちになる。しかし、「叱るのは、性格を変えるためではなく、行動を変えるためです。意識が変わったかどうかは主観の問題。他人が評価することはできません」(齋藤氏)。フォーカスするのは、あくまで「行動の改善」。行動が変わることで意識が前向きになることも少なくないので、粘り強くアプローチしてほしい。

「成果の承認」だけでなく、「存在の承認」を日常的に!信頼関係を築く「褒め方」

叱って、最終的に行動に結び付けてもらうためには、日ごろからスタッフとコミュニケーションをとり、信頼関係を築いておくことが大切。信頼関係を脇に置いて、叱るテクニックだけを磨いても、自ずと限界がある。

では、信頼関係を築くためには、どんなことをすればよいのか。齋藤氏は「叱る」ことの対極にある「褒める」ことの重要性を強調する。「褒めることには、何かができたことを認める『成果承認』と、その人の存在そのものを認める『存在承認』の2つがあります。この『存在承認』が、人と人を結びつけるためには大切なのです」(齋藤氏)。

目立った成果はなくても、「いつもありがとう」と声に出し、スタッフの一員であることへ感謝の気持ちを伝えることや、「髪型が変わったね」など外見のちょっとした変化に気づいて声をかけることも、「存在承認」の1つ。齋藤氏は「こうした"存在承認"を意識的に行うことで、スタッフは自分の居場所がこの店にあると感じることができ、自分を見てくれる人がいるという安心感が、信頼関係の土台になります」と語る。

さらに、「信頼関係はコミュニケーションの量と比例し、接触頻度が多いほど、関係性は深くなる」と指摘。ほんの数秒の会話や握手、ハイタッチなども、信頼関係につながる大切なコミュニケーションなのである。

例えば、「おはよう」と言いながらポンと肩をたたくとか、すれ違う際に笑顔で「昨日は遅くまでお疲れさま」とか、仕事の合間に「きれいにセッティングできたね」などと、ひと声かけることも大切なコミュニケーション。ぜひ、日常の会話に取り入れて、信頼関係の醸成に活用してほしい。

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