【Step 3】望ましい行動を考える
自らアイデアを出せば自発的な行動につながる
改善するべき行動を明確にしたら、どうしたら、それができるようになるかを、叱る側と叱られる側が、一緒に考えることが大切だ。間違っても、「どうやったらいいかは、自分で考えなさい!」などと突き放してはいけない。
「そもそも、叱る側(経営者や店長)と叱られる側(スタッフ)の間には、“望ましい挨拶のあり方”をひとつとっても、認識と意欲に大きな差があるものです」と齋藤氏は語る。その差は、「叱る側が想像する以上に大きいもの」(齋藤氏)。店長にとって「入口まで聞こえる挨拶の声」は、すぐにイメージでき、実践できる簡単なことだが、スタッフにとっては、どれだけの声を出したら入口まで届くのかさえもわからない。したがって、自分の立場で考えるのではなく、相手の立場に立って考えて伝えないと、「やってみよう」「変えよう」という気持ちになりにくいのだ。
そこで、有効なのが「まずはスタッフに考えさせること」と齋藤氏。例えば店長は「もっと大きな声を出して!」などと迫るのではなく、「入口まで届く声を出すためには、どうしたらいい?」と投げかけて、考えてもらうのだ。スタッフから、「練習してみます。短時間でいいので、誰か付き合ってもらえないでしょうか」などと、積極的なリアクションが返ってきたら、大成功。反応が返って来ないのであれば、「一緒に練習してみようか?」と提案してもよい。「本人から改善策や練習方法の提案が出てくれば、『やります!』という宣言効果が生まれ、納得度と実行度が高まります」(齋藤氏)。自分からアイデアを提案することで責任感も生まれ、成長にもつながりやすい。
もともと若い世代は、自分が成長できることには、前向きにアイデアを出すことが得意。店長には、彼らのよいところに注目し、潜在的な力を信じて働きかけ、自ら積極的な提案ができるように促す役割が求められている。そこにこそ、「叱る」ことの本質があると言えるだろう。