熟成肉を最もおいしく提供する、肉おじさん流の火入れを大公開!
肉汁を閉じ込め、うま味を逃さない焼き方
牛肉について学び、自店にとって良い肉を仕入れると同時に、その素材を生かす調理方法も重要だ。中でも、肉の火入れは調理の際に悩むポイントではないだろうか。そこで、千葉氏が考える、牛肉の火入れを紹介する。
一つは塊肉の火入れ方法で、熟成肉のポテンシャルを最大限に引き出すために、「格之進」で実践されてきた「水風船理論」。「熟成肉は、肉に含まれる水分の一部を乾燥させ、うま味を凝縮させています。その凝縮したうま味、つまり肉汁を肉の中に閉じ込めるとともに、肉汁の対流によって火を通し、しっとりと仕上げるのがポイントです」(千葉氏)。なお、「水風船理論」は熟成肉の焼き方として開発されたものだが、熟成していない牛肉にも応用できる部分が多い。
もう一つは、ハンバーグの「三次元焼き」。ハンバーグは小判型に成形し、中央をへこませて表と裏を焼くのが一般的だが、「従来のハンバーグの焼き方は、食肉の処理や流通過程での衛生レベルが今より低かった時代に考案されたもの。中までしっかり火を通すことが重視されるあまり、肉汁が流出して、ジューシーさが損なわれるというデメリットがあります」と千葉氏。衛生レベルが高まった昨今は、肉汁を逃さないことに比重を置きつつ火を通す、新しい焼き方が必要。ぜひ、自店の牛肉調理の参考にしていただきたい。
香ばしく焼き上げつつ、うま味を逃さない水風船理論
ハンバーグに肉汁を閉じ込める三次元焼き