地元客に50年以上愛される「牧のうどん」が繁盛し続ける理由とは
1973年、現在の福岡県糸島市(当時は糸島郡前原町)で創業した「牧のうどん」。1号店の加布里(かふり)本店から店舗網を広げ、現在は福岡・佐賀・長崎の3県に全18店舗を直営で展開する。今回取材に訪れた加布里本店には、平日でも1日600〜700人、週末や連休には多い日で約1,500人が来店。平日は会社員や作業員、休日はファミリーを中心に、子どもから高齢者まで幅広い世代でにぎわっている。
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製麺機を備えた厨房に沿って設けられたカウンター席。1人でも利用しやすく、平日の昼時には会社員や作業員を中心ににぎわう -
混雑時や団体利用時に開放する別室。ツアー客や子どものスポーツチームなどの予約に対応し、大人数を受け入れる
製麺所をルーツに培った麺とだし、多彩なメニュー、そして多くの客をスムーズに受け入れる独自のオペレーション。50年以上にわたり地元で支持されてきた繁盛の理由を、入社27年、全18店舗を統括する部長・山田 雅也 氏にうかがった。
牧のうどん 加布里(かふり)本店
業態:うどん
座席:197席(テーブル、カウンター、座敷席)
客単価:800~900円
客層:地元客、観光客(外国人含む)、ビジネス層、ファミリー
アクセス:JR加布里駅 徒歩8分
営業時間:9:00~24:00
定休日 :第3水曜日
https://www.makinoudon.jp/cont6/main.html
https://r.gnavi.co.jp/6xsduzmk0000/
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繁盛へと導いた、3つのポイント
目次
【POINT1:商材】製麺所をルーツに、麺とだしの品質を追求
【POINT2:メニュー】多彩&ボリューム感で満足度を高める
【POINT3:オペレーション】スピーディーな提供を実現
【POINT1:商材】製麺所をルーツに、麺とだしの品質を追求
「牧のうどん」のルーツは、戦後に畑中 夘右ヱ門(うえもん)氏が立ち上げた畑中製麺所にある。1973年、この製麺所のうどんを使って「牧のうどん」を創業したのが息子の立木(たつき)氏で、現在は2代目の畑中 俊弘 氏が後を継いで代表を務めている。
小麦粉と塩、水だけで仕込んだ生地を製麺所で団子状にし、各店舗へ。店内には製麺機を備え、試験に合格した職人が生地を延ばして切り、釜でゆで上げる。ゆでたうどんは冷水で締めずに、釜から揚げたてをそのまま提供している。麺のゆで加減は「硬麺」「中麺」「やわ麺」の3種類で、硬麺は約7〜8分、中麺は約30分、やわ麺は約40分とゆで時間が異なるため、来客数を予測しながら逆算してあらかじめ準備しており、混雑時のスピーディーな提供を実現している。
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だし用の利尻昆布を年間約30トン使用し、サバ節、ウルメイワシ節、かつお節をふんだんに使うスープ。加布里本店裏の工場で一括製造 -
麺をたっぷり盛ると丼にスープの余地が少ないため生まれた追いスープ。約30年前から小さなやかんを添えるセルフ式に
一方、味の要となるスープは加布里本店裏の工場で一括して製造。だし用の利尻昆布やサバ節、ウルメイワシ節、かつお節をふんだんに使い、食材原価率は40%を超える。だしの取り方自体は変えていないが、2009年に俊弘氏に代替わりした後は、より上質な昆布に切り替えるなど、変わらぬ味を守るための進化も重ねてきた。品質を保つため、出店エリアもおおむね1時間半圏内に限定。各店で変わらぬ味を提供できる体制を築いている。
【POINT2:メニュー】多彩&ボリューム感で満足度を高める
「食べても食べても減らない」「むしろ増える」ともいわれる「牧のうどん」。しかし、その理由について山田氏は「もともとの量が多いだけなんです」と説明する。一般的なうどんが230〜250gなのに対し、普通盛りでも麺は約500g。この圧倒的なボリュームも、長年支持されている理由の一つだ。
さらに、うどんは約30種とバリエーションが豊富で、季節限定メニューも用意。「メニュー表に載せているのは、すべてうちのスープにあうものです」と山田氏。中でも、全店で一番人気の「肉・ごぼううどん」(750円)は、創業家・畑中家のすき焼きの味をベースに甘めに味付けをした肉と、ほくっとやわらかなごぼう天を合わせた一品。親鶏と九州の醤油で炊くかしわ飯も定番だ。卓上には自由に使えるネギを置き、うどんには追加用のスープを入れたやかんを添えるなど、量だけでなくサービス面でも満足度を高めている。
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【POINT3:オペレーション】スピーディーな提供を実現
多くの客をスムーズに受け入れるためのオペレーションにも、「牧のうどん」ならではの工夫がある。「うちはもう人力ですね」と山田氏が語るように、注文から配膳、会計までを基本的にスタッフが担う。
特徴的なのが、店内に設けられた大きな窓。製麺担当者はそこから次に入ってくる客の人数を確認しながら、先回りして麺の準備に取りかかる。注文には昔ながらの手書き伝票を使っているが、オーダーを受けている途中に麺の硬さだけを先に厨房に伝達。さらに、約1分20秒かかる揚げ物も早めにオーダーを通し、伝票を運ぶ間にも調理を進めることで提供時間を縮めている。
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赤鉛筆で記入する昔ながらの伝票も「牧のうどん」の名物。うどんだけでなく、同じ具材で楽しめるそばも並ぶ -
日本語・英語・中国語・韓国語を併記した多言語メニューを用意。糸島観光で訪れるインバウンド客にも対応する
こうした人の動きを支えるのが、長く働くスタッフたちだ。経験を重ねたスタッフが多く、互いに連携しながら店を切り盛りする。混雑して行列ができれば、通常4カ所ある入り口を1カ所に集約して案内し、人の流れを調整。こうした熟練の動きによって、最繁忙時には約10人体制で、1日約1,500人の来店にも対応している。
今後の出店戦略については、子育て世代を含む若い世代の増加が見込める地域で、条件の合う物件があれば新規出店を検討するという。ただし、人材や製麺体制、スタッフの休日などを踏まえ、むやみに店舗数を増やす考えはない。
「現在の18店舗がちょうどいい規模かなと思っています」と山田氏。うどんの品質と働く環境を守りながら、地域に根ざした店づくりを続けていく。
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