1日1,500人来店!「牧のうどん」が50年愛される理由と高速オペレーションの裏側

福岡・糸島の「牧のうどん」は、なぜ50年以上も愛され続けるのか?1日最大1,500人が訪れる加布里本店の取り組みから、繁盛店の理由を分析。製麺所をルーツに追求する麺とだしの品質、1人前約500gという圧倒的なボリューム、そして人の動きと視線を活かしたスピーディーなオペレーションまで、統括部長の取材を通じて、地域の顧客を惹きつけ続ける店舗運営の極意と成功のノウハウを紹介する。

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地元客に50年以上愛される「牧のうどん」が繁盛し続ける理由とは

国道202号沿いに立つ加布里本店。「牧のうどん」の名は、畑中製麺所があった地名が「牧」だったことに由来する

1973年、現在の福岡県糸島市(当時は糸島郡前原町)で創業した「牧のうどん」。1号店の加布里(かふり)本店から店舗網を広げ、現在は福岡・佐賀・長崎の3県に全18店舗を直営で展開する。今回取材に訪れた加布里本店には、平日でも1日600〜700人、週末や連休には多い日で約1,500人が来店。平日は会社員や作業員、休日はファミリーを中心に、子どもから高齢者まで幅広い世代でにぎわっている。

子どもから高齢者まで家族で利用しやすい座敷席。週末は家族連れでにぎわい、3代、4代にわたって通い続ける地元客も多数
  • 製麺機を備えた厨房に沿って設けられたカウンター席。1人でも利用しやすく、平日の昼時には会社員や作業員を中心ににぎわう
  • 混雑時や団体利用時に開放する別室。ツアー客や子どものスポーツチームなどの予約に対応し、大人数を受け入れる

製麺所をルーツに培った麺とだし、多彩なメニュー、そして多くの客をスムーズに受け入れる独自のオペレーション。50年以上にわたり地元で支持されてきた繁盛の理由を、入社27年、全18店舗を統括する部長・山田 雅也 氏にうかがった。

【店舗Data】 
牧のうどん 加布里(かふり)本店
業態:うどん
座席:197席(テーブル、カウンター、座敷席)
客単価:800~900円
客層:地元客、観光客(外国人含む)、ビジネス層、ファミリー
住  所:福岡県糸島市神在1334-1
アクセス:JR加布里駅 徒歩8分
営業時間:9:00~24:00
定休日 :第3水曜日
https://www.makinoudon.jp/cont6/main.html
https://r.gnavi.co.jp/6xsduzmk0000/

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繁盛へと導いた、3つのポイント

目次
【POINT1:商材】製麺所をルーツに、麺とだしの品質を追求
【POINT2:メニュー】多彩&ボリューム感で満足度を高める
【POINT3:オペレーション】スピーディーな提供を実現

【POINT1:商材】製麺所をルーツに、麺とだしの品質を追求

注文時に硬麺・中麺・やわ麺から好みの硬さを選べる。最も注文が多いのは中麺で、近年はやわ麺を選ぶ客も増えている

「牧のうどん」のルーツは、戦後に畑中 夘右ヱ門(うえもん)氏が立ち上げた畑中製麺所にある。1973年、この製麺所のうどんを使って「牧のうどん」を創業したのが息子の立木(たつき)氏で、現在は2代目の畑中 俊弘 氏が後を継いで代表を務めている。

小麦粉と塩、水だけで仕込んだ生地を製麺所で団子状にし、各店舗へ。店内には製麺機を備え、試験に合格した職人が生地を延ばして切り、釜でゆで上げる。ゆでたうどんは冷水で締めずに、釜から揚げたてをそのまま提供している。麺のゆで加減は「硬麺」「中麺」「やわ麺」の3種類で、硬麺は約7〜8分、中麺は約30分、やわ麺は約40分とゆで時間が異なるため、来客数を予測しながら逆算してあらかじめ準備しており、混雑時のスピーディーな提供を実現している。

  • だし用の利尻昆布を年間約30トン使用し、サバ節、ウルメイワシ節、かつお節をふんだんに使うスープ。加布里本店裏の工場で一括製造
  • 麺をたっぷり盛ると丼にスープの余地が少ないため生まれた追いスープ。約30年前から小さなやかんを添えるセルフ式に

一方、味の要となるスープは加布里本店裏の工場で一括して製造。だし用の利尻昆布やサバ節、ウルメイワシ節、かつお節をふんだんに使い、食材原価率は40%を超える。だしの取り方自体は変えていないが、2009年に俊弘氏に代替わりした後は、より上質な昆布に切り替えるなど、変わらぬ味を守るための進化も重ねてきた。品質を保つため、出店エリアもおおむね1時間半圏内に限定。各店で変わらぬ味を提供できる体制を築いている。

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【POINT2:メニュー】多彩&ボリューム感で満足度を高める

一番人気の「肉・ごぼううどん」(750円)。「お客様の約半数が注文する看板メニューです」と山田氏

「食べても食べても減らない」「むしろ増える」ともいわれる「牧のうどん」。しかし、その理由について山田氏は「もともとの量が多いだけなんです」と説明する。一般的なうどんが230〜250gなのに対し、普通盛りでも麺は約500g。この圧倒的なボリュームも、長年支持されている理由の一つだ。

さらに、うどんは約30種とバリエーションが豊富で、季節限定メニューも用意。「メニュー表に載せているのは、すべてうちのスープにあうものです」と山田氏。中でも、全店で一番人気の「肉・ごぼううどん」(750円)は、創業家・畑中家のすき焼きの味をベースに甘めに味付けをした肉と、ほくっとやわらかなごぼう天を合わせた一品。親鶏と九州の醤油で炊くかしわ飯も定番だ。卓上には自由に使えるネギを置き、うどんには追加用のスープを入れたやかんを添えるなど、量だけでなくサービス面でも満足度を高めている。

博多うどんとともに親しまれてきた定番の「かしわ飯」(210円)。親鶏を使い、九州の醤油で炊き上げる郷土色豊かなご飯もの
豊富に用意されたトッピングから、好みの組み合わせを楽しめるのも魅力。定番メニューに具材を加えて自分好みに楽しめる

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【POINT3:オペレーション】スピーディーな提供を実現

路面店では大きな窓を設けるのが基本。製麺担当者が窓越しに来店客の動きを確認し、先回りして麺の準備を進める

多くの客をスムーズに受け入れるためのオペレーションにも、「牧のうどん」ならではの工夫がある。「うちはもう人力ですね」と山田氏が語るように、注文から配膳、会計までを基本的にスタッフが担う。

特徴的なのが、店内に設けられた大きな窓。製麺担当者はそこから次に入ってくる客の人数を確認しながら、先回りして麺の準備に取りかかる。注文には昔ながらの手書き伝票を使っているが、オーダーを受けている途中に麺の硬さだけを先に厨房に伝達。さらに、約1分20秒かかる揚げ物も早めにオーダーを通し、伝票を運ぶ間にも調理を進めることで提供時間を縮めている。

  • 赤鉛筆で記入する昔ながらの伝票も「牧のうどん」の名物。うどんだけでなく、同じ具材で楽しめるそばも並ぶ
  • 日本語・英語・中国語・韓国語を併記した多言語メニューを用意。糸島観光で訪れるインバウンド客にも対応する

こうした人の動きを支えるのが、長く働くスタッフたちだ。経験を重ねたスタッフが多く、互いに連携しながら店を切り盛りする。混雑して行列ができれば、通常4カ所ある入り口を1カ所に集約して案内し、人の流れを調整。こうした熟練の動きによって、最繁忙時には約10人体制で、1日約1,500人の来店にも対応している。

今後の出店戦略については、子育て世代を含む若い世代の増加が見込める地域で、条件の合う物件があれば新規出店を検討するという。ただし、人材や製麺体制、スタッフの休日などを踏まえ、むやみに店舗数を増やす考えはない。

「現在の18店舗がちょうどいい規模かなと思っています」と山田氏。うどんの品質と働く環境を守りながら、地域に根ざした店づくりを続けていく。

株式会社釜揚げ牧のうどん 部長 山田 雅也 氏
1977年、福岡市中央区生まれ。1999年「牧のうどん」に入社。現在は加布里本店に勤務しながら全18店舗を統括し、店舗運営やスタッフ育成など、幅広い業務に携わる。

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