2026/07/01 コラボ企画

神奈川・鶴見「北の麺もりうち」女性や三世代が集うカレーラーメン店の独自戦略

「北の麺もりうち」は、京急本線鶴見駅近くに店を構える。店主の森内 学 氏は、北海道旅行で食べたカレーラーメンに衝撃を受け、3年の交渉を経て修業入りし、さらに3年の修業後、関東で独立した。看板の「スパイシーラーメン」でコアなファンを獲得しつつ、三世代が楽しめるメニュー構成を展開。 広告に頼らず、ワンオペで無理なく売上を積み上げている。

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※スマイラー122号(2026年5月)より転載

関東での可能性を確信!交渉と修業に6年をかけた本気度

開業前、会社員だった森内氏が北海道旅行で立ち寄った店の「カレーラーメン」。関東にあるそれとは、まったく異なるものだった。当時森内氏は38才。「自分のなかでカレーラーメンって、上にルーがのっているようなイメージだったんです。だけどそのビジュアルから遠くて、味も全然違う。これはうまいな、っというのが最初でした」 と振り返る。

北海道の修業時代。左は修業先の「寅乃虎」島田師匠と森内氏

その後、月に一度は北海道に行くように。 「そのカレーラーメンの店にもいつも行くようになりまして。2007年の頃は「カレーラーメン」の店ってそんなになかったんですよ」。 時を同じくして、関東周辺のカレーラーメン」と呼ばれる店は大抵行ってみた。 「比べてみて、やっぱりあっちのほうがうまいな、と」。

将来的に飲食店で独立を考えていたが、業態は決めていなかった。 「それでもまだ確信が持てなかったので、関東で生まれ育った私の友人を5、6人を連れて行ったんですよ。そしたらみんな『うまい』って言って。じゃあこっちで広めようかなと思ったんです」 と森内氏。

彼らの反応から関東でも通用すると判断し、最終的に気持ちを固める。一方で、修業を受け入れてもらえるまで3年間通い続け、受け入れてもらってから修業を終えるのにさらに3年かかった。

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目指すは万人受けではなくコアなファン!本場の味を微調整

カレーでもラーメンでもない同店の看板商品について、「本当に微妙なラインなんですけど、ラーメンが強くなっちゃうとパンチがなくなってしまうし、ラーメンが弱くなるとカレールーみたいになってしまう。この間を微妙にとっているつもりです」。

看板商品の「スパイシーラーメン(こくうま)」

「スパイシーラーメン」と命名したのも森内氏だ。「知らない人からしたら何の味だろうって思ったと思います。分かりやすく『カレーラーメン』にした方が良かったのかなと思いますけど、その辺がちょっと失敗かな(苦笑)」。

味は関東寄りに塩分と辛味を控えている。「オープンしたときは札幌の味のままでいったんです。でもしょっぱい、辛いって言われたんで、修業した店よりは気持ち抑えました」という。

レシピやスパイスも修業先と同じだ。北海道の味を徹底するため、野菜以外は全て、札幌から取り寄せている。麺は道内産の有名なちぢれ麺。「麺が関東の製麺所のものだとなんかちょっと違う気がして。送料はかかりますが麺もちゃんとした北海道のものです」と森内氏。

「最初はすごい説明しました。でも分かってくれないので、とりあえず食べてもらう(笑)好きな人は『すげーうまい』って言うし、あんまり…っていうのも丼見れば分かるじゃないですか。私はそれでいいと思っていて、万人に受けるより極端にファンになってくれるコアを増やしたい。そこのパイが増えたらここでしか食べれないから強いじゃないですか。味的には、安全にみんなにうまいというのは最初から目指してはいなかったですね」。

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家族連れと女性客の受け皿に!強豪“家系”との差別化戦略

最初は「スパイシーラーメン」一本で勝負するつもりだった。「でもちょっととんがり過ぎかなと思って」やめたと話す。

鶴見はファミリー層が多い地域だ。店は17坪と、ラーメン専門店にしては広め。テーブル席を12席設置し、家族層が取り込めるように配慮した。「“三世代が来れる店”を目指したんです。おじいちゃんやおばあちゃんから子どもまで来てもらう。そのためにメニューで白醤油、黒醤油というのもあるんですけど、これはもう全く辛味がなくて、子どもたちが食べられるんです。先日も8人連れが来てくれて。これは結構うまくいっています」と森内氏。

店舗内観。すっきりとした店内

店内はカフェのようなシンプルな空間だ。「この辺は女性が入りやすい店があんまりなくて。横浜だからやっぱり家系が多いんですよね。だからこの辺にないような雰囲気を入れたいと思ってつくりました。たまに女性客だけになるときもあって、“レディースデー”みたいだなと思って(笑)すごくうれしいですね」。

森内氏は醤油ベースが好きだが、お客様の反応は味噌ベースが多いため、味噌をメインにしている。味噌と醤油の売上比率は6対4ぐらい。「最近、なんか白味噌が出るんですよね。誰かインスタか何かに上げたのかわかんないですけど。ポスターも味噌ベースだからかな」。

無理に広げず味を崩さない!ワンオペで着実にファンを増やす

仕込みは森内氏ひとり。基本、1〜2人体制で回している。原価率は40%程度と高めだ。「結構高いんですけど、全部向こう(北海道)からとってますからね、その辺はかかりますね」。

今後の目標や夢について聞いた。「やっぱり店舗展開ですかね、できればね。でも任せられる人材っていうのがいなくて。知り合いで探したことはありますが、やっている業種が違うんですよね。イタリアンだったり。和食だったり。ラーメンの道に来る人はあまりいない。難しいですよ」。

開業して5年、販促活動はほとんど行っていない。「今はひとりで全部やっているので、そこまで頭を使う時間があまりないというか、営業のときはお客様にいいものを出すってことしか頭になくなっちゃうんで、人材次第で店舗展開もできればいいなぐらいしか思っていないですね」。

1日の客数は増え続け、年毎に平均売上は上がっている。「もともと低いですけどね。今は週末にそこそこ並んでもらえますし、平日もたまにあります。やっぱり暑い時はちょっと減りますよね。でも、夏にスパイシーなラーメンを食べて、外に出た瞬間に風がひゅっと吹いて、すっと抜けるときが一番いい感じなんですけど、それをみなさんにわかってもらえるといいですね」と笑う。

限りなく肩の力が抜けた店主がつくるブレない味で、今日もコアなファンを増やし続けている。

文:高山 浩子
株式会社テンポスホールディングス 広報課所属。月刊飲食業界誌「スマイラー」の特集記事、飲食店レポートの編集・取材・執筆を主に担当。店舗運営のヒントが隠れた「面白い読み物」を届けたく、日々励んでいます。食べ盛り男子2人の母。趣味はこだわりカレー店巡り。
北の麺もりうち
住所:神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央4-5-9 エンゼルハイム鶴見中央1階
https://www.instagram.com/kitanomen_moriuchi/?hl=ja
https://r.gnavi.co.jp/4j5jvwb50000/map/

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